拝啓 夢追うあなたへ
拝啓 未来の素敵な絵描き様 この度は丁寧なお手紙をありがとう。 とても懐かしい思いで読ませていただきました。 昔の自分に出会ったような、そんな気分だった。 私の絵を観てくれたんだね。 君の目にそういう風に映ったのなら、私も少しは成長したという事かな。 私にも、君と同じように衝撃的な出会いが過去にあった。 あの電流が体を駆けていくような感覚はなかなか忘れられるもんじゃないからね。 今でもはっきりと覚えているよ。 君は随分私の絵を気に入ってくれたようだけど、 君と私なんて、大して変わるところがあるわけじゃない。 ただ私の方が少しだけ長く生きてきただけの事だ。 生きていれば色々な事がある。 嬉しい事もあれば、身を裂くような辛い事もある。 様々な出会い、別れ…。喜び、悲しみ… そういうものを経て、 人としての深みや表現の幅が増していくんだと、私は思うよ。 そしてどうか忘れないでいてほしいのが、君には君の良さがあるという事だ。 誰かと比較して悲観的になる事なんてない。 君には、君だけにしかできない表現があるはずだからね。 いつか同じ絵描きとして、君と直接出会える日を心待にしています。