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34.路地裏

路地裏の魔女   

お前、ずっと待っていたのか。この雪の中… 待つのは得意って…街では死の病がはやっているのだろう? 私を待っていたせいで死んだら承知しないぞ。 …そんな風に、 そんな風に、いつもどおりを装わないでくれ。 狭間に店を構えてようと、街の動きぐらい分かる。 今日ここに来たのは、お前に別れを告げるためだ。 今夜、私はこの街を去る。 …っ…もう決めた事なんだ…! 病の流行は範囲を広げる一方だし、 天災で食べ物が出回らない状況も続いてる! 人間が漠然とした不安を魔女に向けたのも、ふざけるなと思うけど それを和らげようにも 実質、私たちには何もできない…。 東では何人も魔女が殺されてるんだ。 人間までもが魔女に仕立て上げられてるくらい… これ以上の混乱を避けるためにも、 こっちとの交流を絶つように上からも言われてるんだ。だから……っ …ん、ばか。泣かせる気か お前と過ごした時間、悪くなかった。 私の事を、「好き」と言ってくれてありがとう。 私も、お前が好きだった… さよなら。

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