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19.芝生

「いつか」を失うその前に 

初めて進路希望の紙を受け取り まだまだ先の事だと 適当に書いて出したあの日。 斜め前の席の君が それに何て書いたのか 妙に気になった自分がいた。 所詮片思い。 伝える勇気なんて、あるはずもなくて…。 でも 芝に寝転がって空を見上げて お日様に向かって真っ直ぐのびる草花を 羨ましく思ったりして。 いつか、いつかといううちに 時計の針はずいぶん進んでしまったみたい。 小さな教室。並んだ机。 みんな同じ方を見て 同じ授業をうけてきたのに 見つめてた未来(さき)は それぞれ別のものだった。 昨日と同じような今日が 明日も来ると信じてたあの日。 いつか終わりが来るなんて 思いもしないで過ごしてきた日々。 ねぇ、いつの間に春になったんだろうね。 校庭の桜は やっぱりみんな空を向き、蕾を大きくしています。 「いつか」を永遠に失う前に 私もちゃんと伝えなきゃね。 あなたの事が、好きですって……。

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