雨降り交差点
都会の交差点。 行きかう人々の足音が雨に溶けて 本物よりもどしゃぶりみたいだ。 あぁ、今過ぎてった透明傘の二人はあの日の私たち。 いつも駅まで迎えに来てくれて その足でレンタルショップによって映画を借りる。 小さなソファーでの、雨の日特別上映会が好きだった。 肩が触れるだけでこんなにも嬉しくて 時々顔を盗み見て、偶然目があったりして その度に もうどうしようもないくらいドキドキした。 同じ場面(トコ)で泣いて、同じトコで笑って 一緒にいるだけでこんなにも幸せって思えた。 あなたの手の熱。胸の鼓動。 こんなにも覚えてるのに…もう、過去の二人なんだね。 都会の交差点。 点滅信号が急かすから、行きかう人々の灰色に私もとける。 このままに雨なりたい。 何も知らない 雨になりたい。