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2.戦場のアンドロイド

…へえ、驚いたな。
心臓部が生きてるやつがまだいたとは。来いよ、歓迎してやる。

名前は?…え?
なんだ、記憶装置がイカれてるのか。うらやましい奴だな。

適当にかけろ。今温かいものでも入れてくるから。

…ほら、飲め。
何?昔を知ってるのかって…?…あぁ、知ってるさ。
聞きたいなら聞かせるけども、知らない方がいい過去ってのもあるんだぞ…。

昔は人間ってのがこの世界には生きていて、俺達機械はそいつらによって作られた。
最初は子供の代わりってのが目的だったんだけど水戦争が勃発してからは
「人を殺す道具」と目的がすり変わった。

感情がないのもいくつも作られて、
俺達はたくさんの機械を、人間を、壊して、殺した。

戦争はなかなか終わらなかったね。
このまま永遠にでも続くんじゃないかと思った。
でも、そんなある日、原子爆弾が投下されたんだ。

それは一瞬で大地を焼き付くした。
その地にいた人間はもちろん、機械も、ほとんど全てを。
やがて黒い雨が降って、戦争は終わった。

無人の大地に崩れ落ちて俺は思ったね…!
「あぁ、人間はなんて馬鹿なんだろう!
生きるための戦争でこんなにたくさんの奴が死んだ!
あげくのはてには目的の水さえも汚染しちまった!」

…て。それが、俺の生きてきた過去。遠い昔の話。
その後?今を見れば分かるだろ。お前、ここまで来るのに誰かに会ったか?

…俺の名前、G59っての。
片腕がとれた時知った。
こんなにまで生き延びちゃって 本当、地獄みたい。
すっげーお似合いだけど、大嫌いな名前。

俺たち、こんな世界で会うなんて奇跡みたいだな。
もしよかったらゆっくりしていけ。
お互い、きっと一人より気が休まるから…

02.G59

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