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7.魔法の時計(老人ver.)

いらっしゃい。初めてのお客さんかな…?

 

あぁ、私の事は気にしないで ゆっくり見ていきなさい。

すごい数じゃろう。時計の魅力にとりつかれ早40年、
気が付いたら店が開けるほどになっとった。はっはっ。

ん?この大きいのが気になるのかい?お客さん、なかなかお目が高い…

こいつはな、実は魔法の時計なんじゃ。
…はっはっはっ、信じてないなぁ?私も伝え聞いた話なんだがのう…


なんでも昔はどこぞの国の王宮に置かれていたそうでな
ほれ、そこに扉がついとるじゃろ。
12時のオルゴールの音が響く一時、その扉が開き人々は癒しの森に誘われる。
そこでは光り輝く動物達が美しく舞い、それはそれは幻想的な気分が味わえたそうじゃ。

しかしいつの世にも欲深い人間というのはおる。
魔法の技術を盗もうと考えた者が夜な夜な扉をこじあけてしもうた。
すると一瞬すさまじい不響和音が響き渡り、嵐のような風が城内を吹き荒れた。
それ以来、扉はかたく閉ざされ音楽さえも奏でられる事はなくなった……


いやはや、まったく信じがたい話じゃろう。
しかし扉に残された傷跡や独特の雰囲気に触れていると…
あながち嘘でもないような気がしとくる…。

できることならば死ぬ前にこの目で魔法というものが見てみたくてな、
大切に大切にしとればまた人間を信頼して扉を開いてくれるんじゃなかろうかと
待っとるんじゃよ。

はっはっはっ
年寄りの夢物語に付き合わせて悪かったの。気が済むまでゆっくりしていきなさい。

07.あかずの扉

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