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7.魔法の時計(少年ver.)

いらっしゃいませ。初めてのお客さん…ですね。

 

あぁ、僕の事は気にしないで。ゆっくり見て行ってください。

…すごい数でしょう。僕の祖父、時計収集が趣味で。
大好きな時計に囲まれて店を開くのが夢だったそうです。
僕は、その手伝い。修理の仕事を請け負ってます。

ああ、その大きな古時計…。すごいでしょう。祖父の1番のお気に入りなんですよ。

実はここだけの話、それは魔法の時計なんです。
…あはは、信じてませんね?いや、僕も祖父から聞いた話でして…


昔はこの時計、どこかの国の王宮に置かれていたそうです。
ほら、そこに扉がついてるでしょ。
12時のオルゴールの音が響く一時、その扉が開いて人々は癒しの森に誘われる。
そこでは光り輝く動物達が美しく舞い、それはそれは幻想的な気分が味わえたそうです。

でも、いつの世にも欲深い人間はいる。
魔法の技術を盗もうと考えた者が夜な夜な扉をこじあけてしまったんです。
すると一瞬すさまじい不響和音が響き渡り、嵐のような風が城内を吹き荒れた…

それ以来、扉はかたく閉ざされて音楽さえも奏でられる事はなくなったと言います。


いやぁ、信じがたい話ですけどね。
でも確に扉にはこじあけたような傷跡があるんですよ。
祖父が何度も話すものだから、なんだか…僕まで影響されちゃって。
魔法なんて夢みたいですが、信じたいなぁと思うんです。

大切に大切にしてればまた人間を信頼して扉を開いてくれるんじゃないか、と祖父は言います。
人と物が築く信頼関係なんて…と思うでしょ。
でも、それもあると思うんですよね。こういう仕事をしてると特に。

…あはは
長々と話してしまってすみません。どうぞ気が済むまでゆっくりしていってください。

07.あかずの扉

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