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20.夜明け空の街

誰だ!お前…、まさかこの門の外から来たのか…!?



<ギィー…>
駄目か…。…畜生!!やっと繋がったかと思ったのに……!

…あぁ。目の前のも後ろのも同じ街だよ。
この東門から出てっても、西門から入ったのと同じ事になる。
あんたがどこから来たかは知らねぇが、
ここに入っちまった以上しばらくは帰れないぜ。

…信じられないって顔してるな。まぁ普通そうか。
俺だってそうだったからな。

来いよ。初めての客人だ。案内くらいしてやらなきゃな。


ここからなら大体街が一望できるだろ。気づいたか…?
そう。止ってんのさ。人も車も、水さえも…
この街の時刻は午前5時23分で止ったきり動かない。
あぁ、そう。
太陽もあれ以上昇らないの。
真っ暗闇よりは、良かったのかもしれないけど…。

どうしてって。俺が知るかよ。
…そうだな。多分さ、バチが当たったんだよ。

この街はひとつの企業の
研究施設・製品開発施設・社員の生活施設からなる都市だったんだけど
…その研究ってのが時を渡る技術だったんだ。
研究の秘密を守るためこの街は周りをぐるっと外壁で囲み、
出入りは西門と東門だけに制限された。

未来の製品を現代で開発して利益をあげて…、
街は驚くほど発展していったんだけど、
それがきっと神様とやらの怒りに触れちゃったのさ。

人が自由に時を行き来する技なんて、手にしちゃいけなかった…。
金に目がくらみ、ろくに吟味もしないで生み出して…。
門番の仕事だって、仲間と共に買われていなけりゃ俺は反対だったのに……

…あぁ、悪い。
いい加減余裕なんてなくなっちまった。
時の止った街で、俺だけは確実に狂っていく…。
でもさ、あんたが来た事で何かが変わるんじゃないかって
ちょっとだけ期待してるんだ。

…いつか、絶対生きてこの街を出る。どれだけかかろうと…、絶対に。
できればその時まで、あんたも生きろよ。

20.am 05:23

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