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27.星の記憶

眠れないのかい、少年。
…砂漠の夜は冷える。
どうだね、少しだけ私の話に付き合ってはいかないかい…?




…こんな星空を、ずっと見たいと思っていた。
見ろ、あんなに小さく輝く星までここでははっきり光って見える。
宇宙は遥か遠くのはずなのに、手に届く程近くに感じるから不思議だな…


…寒いかい?テント、戻るか?
はは…じゃあもっと温かくしないとな。ほら、かけて。手も温めてやろうな。
…どうだ?温かいだろ。


どうして人は温かいか…君は考えた事あるかい?
それはな、私たちは皆星の欠片だからさ。
遠い遠い昔、恒星として燃えていた、その名残なんだよ。

そして命が燃え尽きた時、私たちはまた空に帰る。
小さな欠片はゆったり宇宙を漂って、そのうち集まりひとつの星になるのさ。

そうして生まれた星は、今度は何億光年という長い時間を生きる。
自分の愛した人の未来を見守り続けるためにな…


…私の愛した人も、そこにいる。
私も…時期に星になる。
まだまだ無限の未来がある君には想像しにくい話かもしれんがな。


ん?どうした。温まったら眠くなったか?
私はもう少しだけ星を見ている。
君はテントに戻って、ゆっくりと休みなさい。
あぁ、そいつは持っていっていい。私なら大丈夫だ、ありがとう。


おやすみ。良い夢を……

27.星

 

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