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26.夜店
漆黒の闇に包まれて 提灯明かりが呼吸している
雑踏の波にのみこまれ なんだか"ひとり"のようだった
群れた金魚が ぐるぐる回る
水にうかんで ぐるぐる回る
ぐるり ぐるりと流されて 私はどこに行き着くのだろう?
誰かが言った
「狐のお面はいかがでしょうか?
壊れやすい人の身で、こんなうき世はいきずらかろう。
狗に喉元食われぬうちに 狐になるのはいかがでしょうか?」
聞けばなんでも代金は 魂ひとつでいいそうだ
「儲かりますか?」
「儲かりますよ」
漆黒の闇に包まれて 提灯明かりが呼吸している
魂ひとつは高いので 小銭ふたつでラムネを買った
最後に残ったビー玉で 今日も世界を逆さに覗く
ぐるり ぐるりと流されて 私はどこに行き着くのだろう?
26.夜店
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