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いらっしゃいませ。
…ここが何のお店かって?
さぁ…実は僕もよく分かっていないんです。店主は長らく留守でして。
僕はまぁ、その間のお店番ってとこです。
そうですね…
ひとつ言えるのならば、ここは"待っている"モノたちの店。
自分が会うべき人のところに、あるべき居場所に帰れるまで…
こぼれたパズルの欠片たち。そんなモノたちのお店です。
例えば…このペアグラス。
その深い青はまるで夜空をすくったようだと称賛され、
当時繁栄していたとある公爵家の手に渡りました。
ところがその繁栄をよく思っていなかった家の使いがそのグラスに毒を盛り、
当主とその妻は命を落としてしまいます。
その後グラスは歴史の波に埋もれますが、不幸な事件の裏側に時々姿を現しました。
"呪いのグラス"
いつしかその名だけが世間に広まり、脚色を加えられた多くの話が語られた。
…モノの記憶を辿るのは僕にはできないから、これはうちの店主から
聞いた話ですけどね。
グラスは一体どんな想いで人の手を渡ってきたのだろう…
…時代や、噂や、人の弱さ・醜さに翻弄されて
辛い想いを抱えるモノが世の中にはたくさんある。
声をあげられないだけでね。
…そういうモノの想いに寄り添い傷を癒すまでの居場所がどこかに必要で、
この店はそんな"居場所"になりえるところだと、僕は思っています。
あなたのパズルを埋めるものが、きっとここにはありますよ。
あなたはここに迷い込めたのだから。
どうぞゆっくりと、見て行ってくださいね。
40.都市伝説
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