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45.戦争屋

窓から見た空は それはそれは青くて
静かで平和な街並みが
ぽかんとたたずんでるように見える。

窓のこちらにいる僕とは まるで無縁のとこみたいで
なんだかおかしくて、悲しい。



幸も不幸も知らないままに
僕は人を、世界を壊す。


「ねぇおじさん、今回の開発は失敗だよ。
確に進歩かもしれない
確に、確にこちらの犠牲は格段に減ったよ。
だけどおじさんの開発は時間をかけて「人間性」を破壊する…!
僕は日に日に自分の感覚が麻痺していくのが分かるよ…
時間になったら帰路につき
何事もなく飯を食い
恋人とは体を重ね、眠り…

"どうしてこんなにも普通でいられるんだろう"
数えきれない程の人をまさにその日に殺しているのにだよ!

まるで平気な自分に気づくとき、僕はたまらなく怖くなる。
怖くて怖くてたまらないよ…

いつ僕が"もっと"という感覚に襲われるのか
殺しても殺しても殺したりなくて見境いなしに壊しはじめたらって…
ゲームみたいに。

だってそうだろう!
ただ椅子に座って無人航空機が映し出す映像をモニター越しに眺めて、スイッチを押す。
おじさんが開発したのは、そういうものなんだから…。

平和や正義を盾にした本音は
名声のため?地位のため?

それだけじゃない。
儲かるから作って おもしろいから殺す。
おもしろがって殺す戦争屋に、知らないうちに仕立てあげられる。
何でもない普通の人間がだ。

…わけがわからない。
ごちゃごちゃだ…、ごちゃごちゃ…
世界は本当は… 美しいはずなのに……」


窓から見た空は それはそれは青くて
静かで平和な街並みが
ぽかんとたたずんでるように見える。

窓のこちらにいる僕と まるで無縁に見えるのは
やはり窓ごしでしかそこを
知っていないからだろう。


「あぁ、もう仕事の時間か。えぇ、えぇ、頑張りますよ。
実を言うと僕は本当にこのゲームが楽しくなってきているんです。
自分でも怖いくらいに。
僕はもう壊れてしまったんですかね、人間として… へへへ。
僕はもうただの、戦争屋ですよ。」

45.窓から見る空

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