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51.夜をまとう少年の話
「夜をまとう少年の話を知っている?」
闇に溶けてしまおうと
ひとり歩く私の後に
いつの間にかついてきた黒猫は問いかけた。
優しくなりたくて
でも、なりきれなくて
言い訳ばかり並べても、すぐに嘘だとばれてしまうのに
そうやって 大切にしたかった あの人を
傷つけ続けている自分に 自分で傷ついて
笑うことも 泣くことも 謝ることさえ
私にはもう 許されていない気がした。
孤独を抱えたあの人に
必要とされたくて 近づいて
抱えきれなくなったら
あっけなく手放した 私は、なんて
ーー 最低なんだろう。
「彼の盗んだ宇宙のマントは 君を優しく 消してくれるよ」
紅く染められた満月が つかの間 すべての時間を止めて
黒猫の瞳が 怖いくらい 真っ直ぐに 私を見つめた。
51.クラッシュ!
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