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56.春、夜桜、お母さんの思い出。

よいこらしょっと…
ん?これ? へへ、足湯でもどうかと思いましてね。
ちょっとおもしろいでしょ?



あとほら、これ
どれがいい?適当にコンビニで買っといた。

ん、じゃあー、かんぱーい! んー… おいしい!
縁側で足湯しながら夜桜眺めるなんて、最高ですなぁ。
それもこれも、じぃちゃんばぁちゃんが残してくれた
この家と庭のおかげですわ。感謝、感謝。


あの桜って、お父さんが小さい頃からあるんでしょ。
ばぁちゃんが好きな花だからって、じぃちゃんが植えたって話、本当?
へぇー やっぱりじぃちゃん、かっこいいね!

でも、わたしにとって、あの桜の木は… お母さんの木。
あんまりよく覚えてないけど、お母さんをみんなで送り出したあの日
この桜がすごくきれいに咲いてて… 

わたし、すぐに泣けなかったんだよね、確か。
あの桜が散るときになって、
本当にお母さんが遠くにいっちゃったんだって感じがして、泣いた。

でも、季節が巡るたび、この桜がまた満開になるたびに
また今年も、お母さんが会いに来てくれたなって思えるようになった。
だからわたしは、桜が咲く今の季節が1年のうちで1番好き。
ちょっとだけ寂しい気もするけど、お母さんを1番近くに感じられる季節だから…


お父さん、お母さんと出会ってくれて、お母さんを好きになってくれて
ありがとう。



ちょっと、やだ、もしかして泣いてる?
もぉー、お母さんきっと見てるよ。恥ずかしいなぁ。


あぁー… 足、ぬくい。
お酒もうまいし、桜もきれいだ。
なんかこういうのって、極楽ですな。

56.極楽

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