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61.毒蛇の愛執

アダムとイヴがお互いを愛し合うようにと
恋の矢を打とうとしたエロス。
しかし誤ってその矢で自らを傷つけてしまい、イヴに恋をしてしまう。
イヴを惑わした蛇が、実はエロスが姿を変えたものだったとしたら…

 


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…イヴ?イヴだろう?
あぁ、やっと、やっと会うことができた…!良かった。
あれからずっと探していたのですよ。

わたしはどうしても、あなたに謝らねばと…。
あなたを酷い目にあわせてしまった。本当に、悪いことをしたと思っている。
けれどこれだけは知ってほしい。
わたしはあの時、決して嘘は言いませんでした。
あなたを貶めるつもりもなかった。
わたしはただ単純に、あなたにひとりの女性として自覚してほしかったのです。
あなたは当時、恥じらうことも知らぬ子どものような存在でした。
だから…―――



あぁ、そうか。
あなたは地上におろされる際、色々な記憶を消されてしまったのですね。

はは、「良かった」ととらえるべきか… 
あなたにわたしの存在を、刻みつけられたかと思っていたのにな。


ねぇ、イヴ。帰りましょう?
地上は穢れであふれている。
わたしのせいで追いやってしまった。だから、あなたを救いたいのです。
その体はもって行くことはできないけれど
なに、怖いことも、痛いこともありません。
ほんの少し、その瞳を閉じてくださるだけでいい…… さぁ、さぁ。


… アダム? あぁ、あの男のことか。
…っ 忌まわしい…!やはり最初からあなたに鉛の矢を打ち立てておくべきだったか…!
まぁ、いい。それもすぐに忘れることだ…!


(喉元に噛みつく毒蛇)


イヴ…、あなたを1番愛しているのはこのわたしです。
他の誰よりも、あなたを1番愛している。
だからどうか…、どうか… イヴ、 わたしを愛して。

 

61.エロス

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